あらすじ

某ビルの、某部屋のクーラーは古い、もうずっと昔設置したまま
みんな、燃費悪い冷え冷え寒いと出ていってしまった、
省エネの適温の空間に行った仕事したり談笑したり
誰もいなくなった部屋で、クーラーはでも壊れていない、でも燃費悪い冷え冷え全力で

初冬なのにクーラーのはなし


演出ノート

 空気を読むとかKYとか、すぐにめんどくさいという風潮とか、人間関係にも省エネな感じが充満している。

 演劇は、俳優が場の空気を支配しながら面倒くさいやりとりをああだこうだと試行錯誤している様を提示し、観客はその面倒くさいものをわざわざ見に行く、というなんともエネルギーのいることである。この作品はコミュニケーションという面倒なことを真っ向から扱おうというとても演劇的な作品になるから、とても面倒な見世物になると思う。
 コミュニケーションとは例えば、「若いときはエネルギッシュで向こう見ずだからあぶなかっしくてどうもアドバイスしたくなる」という人と「間違いを経験し無駄なことだったと学習しないうちに、あれこれダメと言われても無理」っていう人との間に発生する。「若いときはそういうもんだ、って若いから若くないことなんてわからない」

 自分も若いが、なるべく若い世代に見てもらいたい。自分は若くなくないと思っているが、若くない世代に見てもらいたい。

神里雄大